スニーカーは履くための道具か、それとも資産か?ーリユース市場から見える価値の変化ー

スニーカーを選ぶとき、どんなことを重視して選びますか?

デザイン?履き心地?人気モデルか?など重視する要素は多くあるように感じます。

私自身も過去にはモデルやデザイン重視で多くのスニーカーを所有していた時期もありますが、私の場合はコレクションではなく、履く事を前提として所有していた為、今では履き心地を第一に重視し、デザインが気に入ったものを選んでいます。

ピックアップでは日々多くのスニーカーを買取依頼でお持ち込みいただくことがありますが、その中には「モデル的には人気なのに高くならない」「逆に履き込まれているのに高くなる」という場面も少なくありません。

スニーカーの価値はブランド名やモデル名だけでは決まりません。

今回は、リユース市場という少し違った視点から、「価値が残るスニーカー」と「価値が下がりやすいスニーカー」の違いを解説いたします。

●プレ値って何?

スニーカーに限ったキーワードではありませんが、「プレ値」というキーワードを聞いたことがあるかと思います。

定価を超える価格、つまり「プレミアム価格」の略称として「プレ値」という言葉が誕生しました。 

プレ値になるアイテムはスニーカー以外にもアパレルや腕時計、トレカ、ウイスキーなどがありますが、共通している特徴としては以下の通りです。

・生産数が限定されていて、希少性が高い

・想定以上の人気により、定価での購入が難しくなっている

・コラボ商品など再販される予定が無い限定商品

など

スニーカーに関して言えば、数年前のナイキの戦略はまさにプレ値を生み出す戦略で、抽選販売を主として、購入方法を限定することでブランドとしての価値を高めることに成功しております。

このようにして、ブランドの戦略や市場での人気により定価を超えて取引されるアイテムが生まれています。

●「履くスニーカー」と「価値が残るスニーカー」の違い

先にも記載したように、数年前まではナイキの戦略もあり、スニーカー市場ではナイキの一人勝ちのような状況もありましたが、近年では多くのブランドから人気となるモデルが続出し、ファッション傾向の変化により、人気が分散していることや、定価の高騰も相まって、価値が残るスニーカーやプレ値になるモデルが少なくなっています。

その中で「履くスニーカー」と「価値が残るスニーカー」の違いを過去の事例も合わせて簡単に解説いたします。

スニーカーの中には「インライン」と呼ばれ区別されるアイテムがあります。

これは、メーカーが定番モデルとして位置付け、一般的なスニーカーショップでも比較的購入しやすいラインナップです。

【画像:西伊場店】

このインラインは、定番モデルであり、長期的に安定供給されていることで一般ユーザーも購入しやすく、「履くスニーカー」の代表例です。

インラインの中にはメーカーの過剰在庫によりアウトレットに回ってしまうモデルも多くあるため、二次流通においてプレ値になるモデルは少なく、中古市場においても値下がり傾向であるものが多いことが特徴です。

また、抽選販売や限定販売のアイテムであっても、その後に再販されてしまっていたり、復刻モデルである場合には、発売直後はプレ値になっていたとしても長期的に見れば値下がり傾向となるスニーカーも少なくありません。

反対に「価値が残るスニーカー」はどういったものでしょうか?

今回はあくまでも「価値が残る」にフォーカスして、「プレ値になるスニーカー」とは違った部分を紹介いたします。

モデルによっても条件が異なるので、一部の事例をあげて解説していきます。

①NIKE Air Yeezy2 Red October

これはヒップホップアーティスト「カニエ・ウエスト」とナイキのコラボスニーカーで有名なモデルですが、このカラーに関しては事前の発売告知がなく、当時のナイキオンラインにて短時間でゲリラ的に発売がされたため、たまたまそのタイミングでナイキオンラインを見ていた人でないと購入できなかったモデルとなっています。

他のカラーについても、現在の市場価値が数十万円と高い価値となっていますが、このレッド・オクトーバーについては他のカラーの倍以上、過去には数百万円ほどの取引もあった価値が残るスニーカーの代表とも言えます。

その他にも、これと同様に人気アーティストや人気ブランドとのコラボモデルで、販売数も少なく、その後の再販がされていないものに関しては価値が残るスニーカーとしていくつか存在しています。

②AIR JORDAN1 (1985年発売オリジナル品)

人気スニーカーの定番モデルであり、これまでも複数回復刻もしていますが、1985年の発売当時のオリジナル品は古くても価値が残っている代表モデルです。

復刻するたびにスニーカー市場は賑わいますが、レザーの質感など細かなディテールがオリジナルとは違いがあり、やはりオリジナルの魅力は別格となっています。

年代的にも古いため、市場の流通数はかなり減少しており、そのなかでも状態の良いものほど高額な取引にはなりますが、使用感があっても一般ユーザーから見ればかなりの価値で取引されています。

その他ナイキ以外にも、ニューバランスやアディダスからも1970〜80年代頃に発売されたモデルで今尚価値が残るスニーカーはありますが、特徴としては以下のような内容となります。

 ・発売当時のオリジナル品

 ・ソールの素材がウレタンではなく、ゴム底のカップソールで加水分解のリスクが少ない

 ・発売当時にも革新的なデザインや機能により話題性や人気が高かったモデルで歴史を変えたモデルとして位置づけされている

このようにして、「履くスニーカー」と「価値が残るスニーカー」とは条件が大きく異なるため、購入や所有する条件や魅力も全く変わってきますよね。

●なぜ同じ定価でも中古価格(二次流通価格)が大きく変わるのか

査定を行うなかでも多くの品物で差がありますが、前述の「履くスニーカー」と「価値が残るスニーカー」との違いと同様です。

プレ値になるわけではないものの、同じ定価であっても生産数や市場流通数、人気などにより大きく中古価格が変わります。

例えば、同じスニーカーのモデルでもカラーによる人気度合いによって差が生まれることもあります。

【画像:宮竹店】

例えば、画像のスニーカーですが、どちらもナイキのダンクローですが、右のモデルと左のモデルでは同じサイズの未使用品であっても、相場が数千円ほどの差があります。

また、定価は同じであってもアウトレットに回ってしまっていて、新品での購入価格が下がっているようなアイテムと引き続き定価販売されているアイテムとでも差が生まれます。

全く同じモデル、同じカラーのスニーカーで、仮に同じ状態であったとしても、サイズに

よって中古価格が異なる物も多く存在します。

サイズについては、26〜28cmくらいが所謂ゴールデンサイズとも呼ばれ、国内においては最も取引価格が高くなりやすい傾向です。

逆に同じモデルであっても、レディースサイズになってしまったり、極端に大きいサイズである場合には価格が下がってしまう傾向も目立ちます。

このように同じ定価でも中古価格が大きく変わる理由は、二次流通における需要の格差が影響しているからです。 

●リユース市場で価値を維持しやすいモデルの共通点

価値を維持しやすいという観点で言えば、一時的な人気よりも安定的な人気の方が重要になってきます。

【画像:西伊場店】

例えば、ナイキのエアフォース1のホワイトやアディダスのスタンスミス、コンバースのオールスターのように、モデルとしての歴史も長く、定番モデルとして永らく愛されているモデルは価値が落ちにくい、維持しやすいモデルと言えます。

プレ値になるスニーカーのような、資産的な価値は高くないものの、リユース市場において安定的な人気があるものとしては、やはり定番モデルが一番では無いでしょうか。

プレ値になる物の中にも、前述の「価値が残るスニーカー」として紹介したような、コラボモデルや限定モデルも価値としては高いですが、高水準で価値を維持しているモデルは流通数も少なく、ほんの一部に過ぎません。

プレ値になるようなモデルであっても、発売直後から時間の経過とともに市場流通数が増えてくることでの相場の変動が激しくなるモデルも多数あります。

そういった意味でも、安定した人気があり、常に多くの需要があるモデルこそが、価値を維持しやすいと言えるでしょう。 

●価値を落とさない為の履き方や保管方法

とはいえ、せっかく買ったスニーカーだから綺麗に履いて、価値は落としたくないですよね?

ましては、プレ値で買ったスニーカーや抽選でようやく手に入れたスニーカーであれば特にだと思います。

そこで、私自身が普段から行っているスニーカーケア方法や査定する際に「もったいないな」と感じてしまう状態も踏まえながら、紹介していきます。

まずは、査定する際にもったいないなと感じる場面と、その解決策について紹介します。

 ①かかとの擦り減り

これは良くありますし、仕方ない部分でもあります。せっかく買ったお気に入りのスニーカーだからこそ、頻繁に履いていればどうしてもソールは擦り減りますよね。これに対する解決策は、購入後にソールに保護材をつけることです。

近年では、ソール保護用のシリコンシールも多く販売されていますし、中にはモデル専用設計のヒール保護材も売られています。

クリアの靴補修材を塗っておくだけでも、擦り減り防止としては大きな効果を得られます。

 ②アッパー、ミッドソールの汚れ

プレ値で買ったお気に入りのスニーカーを毎日愛用。気づいたら汚れが沢山ついてしまっている。そのようなシーンは沢山あると思います。お気に入りだからこそ毎日履きたいですよね。

最近のスニーカーは使用している素材も多岐にわたっており、メッシュやナイロン、ニット素材も多く、ミッドソールにはウレタンを使用し、履き心地の良いものも多くあります。

ただ、これらの素材は汚れが染み込みやすいことも特徴で、気づいた時には落ちにくくなっていることも。

まずは、購入後着用前にスニーカー専用の防水スプレーをしてください。

最近の防水スプレーは対応素材も幅広く、防水性だけでなく防汚性も非常に高くなっています。

着用前に防水スプレーをするだけでも、汚れの染み込み方が段違いです。

また、履いた日や汚れがついてしまった日には放置せず、その日の内にケアすることも重要です。

最近は、シートタイプのスニーカークリーナーもあり、手軽に汚れのケアもできますよ。

 ③かかとの変形

これは非常にもったいないです。他の状態が良くてもかかとが変形しているだけで、お買取が難しい場合も多いです。

たとえプレ値になっているスニーカーだとしても、お買取りが難しくなったり、査定額は大幅にダウンしてしまいます。

そのため、脱ぎ履きするときもかかと部分を踏み潰してしまうような取り扱いはしないことが賢明です。

上記については、プレ値のスニーカーで査定に対するお客様の期待値も高い中でご期待に沿うことができなかった非常にもったいないなと感じてしまう一部の事例です。

他にもスニーカーを綺麗に保つためのケアを簡単に紹介します。

 ・履いたスニーカーは脱いだらシューキーパーにて履きジワや変形を抑止。汚れがついたと感じる場合にはクリーナーシートにてクリーニング。

・毎日同じものを履かずに数足をローテーションして着用。

→これだけでも1足がかなり長持ちします。

・定期的にスニーカークリーナーにて洗浄して、防水スプレーを再塗布。

→防水スプレーも効果は薄くなってくるので、履く頻度の高いものは少なくとも月1くらいで洗浄し、再度防水スプレーを施します。

・保管は通気性の良い日の当たらない場所での保管。

→最近のスニーカーはウレタン素材を使っているものも多いので、加水分解のリスクが高いことも特徴です。

そのため、通気性良い日の当たらない場所で保管し、日焼けも防止します。

近年では、コレクション用にスニーカーのクリアボックスなども販売されていますが、私の場合は冒頭でも説明したとおり、コレクションよりも履く前提でもあるので、基本的には少しでも長持ちできるケアを心掛けています。

●直近での市場価値の変化

スニーカーブームが再来し、ナイキの人気が高騰したことで一時期はナイキのスニーカーの多くがプレ値になるという現象もありましたが、直近では様々な変化により人気や市場での価値も分散しています。

・古着ブームによりスニーカーも歴史の長いモデルが人気に。

 コンバース・オールスター、アディダス・サンバ、スペツィアルなど

【画像:磐田店】

・ノームコアの流行により、よりシンプルに

ノームコアとは普通、標準を意味するノーマルと、核心を意味するハードコアをかけ合わせた造語で、シンプルなアイテムを取り入れるのが基本のファッションとなります。

ノームコアに合わせたスニーカーの特徴としては、カラーやロゴが目立たないシンプルなデザインでデニムやスラックスに相性が良いことが特徴です。

スニーカーとしてはニューバランスやアディダススタンスミスを始め、直近ではオールブラックのスニーカーもブランド問わずに人気となっています。

【画像:西伊場店】

・テックウェアの流行

ノームコアと同時期にアウトドアアイテムを都会的に着こなす「アーバントレイル」スタイルが定着。それに相まって、トレランシューズ、ボリュームのあるランニングシューズがファッションに多く取り入れられています。

モデルとしてもサロモン、ホカ、メレルなどアウトドア系のメーカーが人気を博しており、これまでスニーカー市場ではあまり見られなかったメーカーの台頭も見受けられています。

【画像:西伊場店】

スニーカーブーム自体も以前のような熱狂的なものではなく、ブームが終わったと捉える人も少なくありませんが、ブームが終わったというよりは、このような様々な背景により人気が分散されていることで、最近は以前に比べてプレ値になるスニーカーも減少し、落ち着いてきているという表現が正しいのではないでしょうか。

熱狂的なブームを経て、スニーカー市場は今、多様な価値観が認められる成熟したフェーズに入りつつあります。 「資産」としての価値を追い求める楽しみ方もあれば、「道具」として日常を彩る楽しみ方もあります。正解は一つではありません。 移り変わるトレンドの中で、リユース市場も上手く活用しながら、ぜひご自身なりの豊かなスニーカーライフを楽しんでみてください。 

筆記者 ピックアップエリアマネージャー H 

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